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WISTORY 管理人日記の表示/ワインの科学

管理人コラム

日記デザイン

チョーク(craie)ってどんな石?

カテゴリー:ワインの科学

2014-10-29

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※昨日書いたときに間違いがあったので、修正します。

ぶどう園のテロワールの説明には、さまざまな岩石の名前が出てきますね。

最もよく登場する石灰岩は、大理石としてや、鍾乳洞で見られるので、イメージできるはず。元になっているのは貝殻などで、元々そこは海だったということになります。

泥灰岩(マール)は、石灰質と粘土質のものが混じって固まったもので、読んで字の如しです。

花崗岩もよく出てきますが、これは墓石や建材として使われることが多いので、イメージできるはず。いろいろな種類の結晶が押し固められたようなブツブツの模様になっていますね。これは火成岩で、マグマがゆっくりと冷却されるうちに結晶ができて、あのような姿になったものという説が有力だそうです。

玄武岩も日本には沢山あるので、見たことがあるという方も多いはず。兵庫県にある玄武洞が有名です。

さて、私がもうひとつはっきりとイメージできなかったのがチョークとか白亜とか記載されるもので、フランス語ではcraieと記載されたものです。
カルシウム化合物が結晶せずに固まったものとのことで、石灰岩の変種。黒板に字を書くときに使うチョークの語源となっている。

写真は、化学同人・ネイチャーガイド・シリーズの「岩石と鉱物」より拝借しました。テロワールを意識する方は、1冊くらいこのような本を手元に置いておくべきでしょう。

詳しくは、あらためて書きますね。


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土壌とワインの謎

カテゴリー:ワインの科学

2013-11-21

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うちの畑の土壌は、シレックスと石灰岩質です・・・などと紹介されるのをよく目にしますが、だからどうなの?というのがイマイチ分からない。

一方、ミネラル感って何なの?というのもあってややこしい。

アルザスに関する記述を読んでいると、リースリングほどテロワールをダイレクトに反映するものは無い……とのことです。同一の品種をある程度気象条件が一定の場所で土壌だけ変えて栽培し、そのぶどうから同じ製法でワインを造った結果がどうなるかを比較すれば、違いは明確になるわけです。

どうもそれを実際に試みた地域がアルザスで、この地域に適合した品種がリースリング。けれど、ワインの味や香りに関する記述が不十分なので(と私は感じたので)結局のところ土壌の質とできたワインの結果の関係は曖昧なままであります。

■ 火山岩と非火山岩

土は無機物と有機物で構成されています。無機物は要は石や岩が砕けたもので、有機物は動物や植物が腐ったなれの果てであります。

石や岩の元は、大きく分けると火山岩と非火山岩になるのではと思います。火山岩というのはマグマが固まったもので、テロワールでよく登場するのは花崗岩です。非火山岩の代表は石灰岩で、貝殻や動物の骨が蓄積してできたものです。

■ 植物が育つ栄養の素

よーく考えてみると、土は結局、植物(ぶどう)が育つ栄養の素。土がというか、土から溶け出すイオンや成分がということかも知れません。アルカリ土、酸性土などというもの、植物が育つのにどっちを好むかという話で、アルカリ土なら何でもいいというわけではないでしょう。

植物が育つには、まず根・枝・茎が伸びること、そして葉が育つこと。葉が育って光合成をして自らも栄養をつくり、その力で根・枝・茎などをさらに成長させ、花を咲かせて実を結び、そしてその実を美味しくする。(根菜なら根を美味しくする)
こうした営みの中で、ぶどうの場合は結果的に実が魅力的な味や香りになるということが求められるわけです。

■ 微量栄養としてのミネラル

植物の栄養と言えば、よく窒素・リン酸・カリと言われます。一方、ぶどう園の土壌で出てくるのは、石灰岩・石膏・花崗岩・シレックス(石英)・泥灰岩で、それらを構成する成分にカリウムは含まれますが、窒素やリン酸は含まれません。
むしろ、カルシウム・シリカ・マグネシウム・硫黄・鉄などが主な成分です。しかし、これらミネラルと言われる成分も生物の営みに欠かせない微量栄養なのです(人間もそうです)。

生物の中で行われるいろいろな合成作用に関与していたり、黒ぶどうの果皮に鉄分が含まれるように、直接組織を構成するのに必要だったりするわけですね。

そう考えたら、土壌の違いによって、リースリングの実の味や香りが違ってくるであろうこと、そして、こっちの畑にあって、あっちの畑にない成分、例えば石膏のある畑と無い畑では、硫黄の量がものすごく違うであろうことが分かってきます。

続きはまたあらためて・・・。


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定義されていないminéralitéという味

カテゴリー:ワインの科学

2013-11-11

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ワインの味を表現するときによく使う「ミネラルが豊かで」の正体はいったい何なのか? 私は長い間その疑問に取りつかれている。

そして、Terre de Vignesという本の中でminéralitéという単語に遭遇した。この単語は一般的な辞書には載っていない。

そこで、googleにこの単語を放り込んで検索してみたところ、「minéralitéという言葉はよく使われるが、はっきりした定義がない。」とあるドメーヌのサイトに書かれていた。

http://www.chateauloisel.com/etude/mineralite.htm

■ 五味でもなく旨味でもない7番目の味?

甘い・鹹い・酸っぱい・苦い・辛いを仮に五味とするなら、旨味は6番目の味という説があって、旨味という言葉を積極的に使い、グルタミン酸やイノシン酸などが旨味の正体であることを早くから解明して活用してきた日本の食を、海外の料理人も今では認知しているという話は、多くの人が知っている。

これと同じ論法で語るとすれば、minéralitéは7番目の味なのかも知れない。

ただこの7番目の味は、この言葉をよく使うフランスでもまだ曖昧に使われているようだ。もし、minéralitéが解明されているならば、良く使われるが定義がないなどと書かれることは無いはずである。

■ minéralitéは測定不能なのか?

上記のサイトでは、「minéralitéは他の酸味などのように測定できるものではない」というようなことが書かれている。これを書いた人が、どれほど調べた上で「測定不能」と書いたかは不明なので、どこまで信憑性があるかどうかわからない。

しかし、私の直感では、きっといずれは測定できるようになるのではないかと思っている。

■ もしminéralitéがボルドーで多用される価値だったら

minéralitéの不幸?は、この言葉がロワールやアルザスでよく用いられる価値であるところに起因するのではないかと思ってしまう。
もしボルドーでもっと白ワインが優勢ならば、minéralitéに関する研究はもっと進んでいたのではないか?などと思ったりする。


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ワインと土壌の謎2 silex

カテゴリー:ワインの科学

2014-06-12

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■ 石灰岩・マール・シレックス

サンセールの土壌について読んでいます。その結果、サンセールの土質は、石灰岩(calcaire)とマール(marne 石灰岩質泥灰岩ともいう)とシレックス(silex)のいずれかということだ。

ワインの味との関係を簡単に言うと、
 石灰岩: さわやか
 マール: 力強さ
 シレックス: キリッとしたミネラル感
ということらしい。

通常、サンセールの造り手たちは、複数の場所に畑を持っていて、区画ごとに醸造し、瓶詰めの前にブレンドすると書かれていた(実際には単一区画の製品もあるが・・・)。
つまり、各土壌(土質)から生まれるワインの特徴を生かしつつ、弱い部分をカバーして全体のバランスをとるためにブレンドするということだ。

ここで一番わからないのがシレックスである。そもそもシレックスとは何なのか? それはチャートという二酸化ケイ素を主成分とする石。二酸化ケイ素の結晶といえば石英だ。ただこのシレックスにはそれ以外の成分、例えば鉄とかアルミとかナトリウムとか、もっと希少な元素も含まれているようだ。ならば、シレックスはどうやってできたのか? これももう一つはっきりしないが、珪藻類のようなケイ酸化合物の殻を持つ生物(図)が繁殖した結果できたとの説が有力。というのも、かの石灰岩も、貝類や動物の骨などからできたもだし、その上の層にシレックスが重なっているというのであれば、同じように生物説が有力になる。二酸化ケイ素は地殻の成分として元々あるけれど、もしマグマが覆いかぶさったとしたら、シレックスのような組成では済まない…ということなのだろう。


■ サンセールとシャブリ

シャブリは少し離れているけれど、ブルゴーニュに分類される。しかし、実際はサンセールとシャブリは土壌的に似ているようだ。ロワール川をはさんで、サンセールは南側、シャブリは北側だから、一旦海で分かれて、再度寄せ集まることで現在のフランスができるまでは、2つの地域は大きく離れていた。ただ、同じような時代の同じような地層が両側にあると考えたらいいだろう。

シャブリではシャルドネが栽培され、サンセールではソーヴィニヨン・ブランが栽培されているので、よく似た土壌のぶどう品種違いということになる。

シャブリは生牡蠣との相性で有名になりすぎて、ずいぶん昔にパリのカフェで牡蠣など貝の盛り合わせを注文していざワインを選ぼうとした時、シャブリがあまりに高いので、覚えのあったサンセールをたのんだ。半額ぐらいだった。サンセールも牡蠣に合うじゃん!と思った。


■ シレックスをことさら強調する風潮

適度なコクとシャープなキレ…といってもどの程度が適度なのかは好みの分かれるところだろう。「うちのテロワールはシレックス」と強調しているドメーヌでも、何か甘くて重いワインもある。

どうもシレックスと書いた方が売れるらしく、やたらとシレックスという文字が目立つ今日この頃。まあ、シレックスはいいと思うけど、それだけでは判断がつかないので要注意だと思う。

あと、シレックスに含まれる何がキレなりミネラル感に直結しているのかをハッキリと言及した文献には出会えていない。ほんとにストレスがたまる・・・。


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